一般社団法人 逗子葉山青年会議所
第62代理事長 沼田 亮
調和
【はじめに】
この逗子葉山には今何が求められているのだろうか?
何故、このタイミングで私はこの一般社団法人逗子葉山青年会議所第62代理事長の職を仰せつかることになったのか。
都心部からアクセスもよく、綺麗な海と自然豊かな山に囲まれた逗子葉山は全国的にも知名度が高くスローライフに憧れる移住者も多く、神奈川県の住み続けたい街ランキングでも上位に選ばれる、恵まれた地域であります。
東京オリンピックが開催された1964年、日本全体が高度経済成長期、その成長を世界に示す勢いがある時代に今の逗子葉山青年会議所の前身でもある逗子青年会議所が創立しました。
昨年には、逗子葉山青年会議所は創立60年を迎え、創立60周年記念式典と記念事業を開催することができました。60年という年月を紡ぎ続けられたのも、逗子と葉山のまちづくりに英知と勇気と情熱を持っていたOB諸兄姉と現役メンバーの努力、そして地域の皆様のご理解とご協力があったからこそだと考えております。
しかし、近年の逗子葉山青年会議所は時代の変化により会員減少が進み、2024年には存続の危機に直面しておりました。
会員拡大が成功しなければ創立60年で歴史を終えてしまう、そんな厳しい状況の中で私は入会しました。1年間と短い期間ではありましたが、この逗子葉山青年会議所で多くの経験をさせていただき、私自身の成長とともに、このまちの為に出来ることがもっとあるのではないかと感じるようになりました。
かつては、ものづくり大国と言われた日本。そんな日本を象徴する言葉で、私には好きな言葉があります。
「ものづくりは人づくり」
ものづくりが好きだった私にはとても共感できる言葉であり、これはまちづくりにおいても一緒だと思います。
そして、まちづくりを通して、青年がリーダーシップを学び、社会により良い変化をもたらす人財となる機会の提供を使命とする青年会議所は、「まちづくりは人づくり」を体現する団体であると考えております。
今年度、私たちのスローガンは「調和」です。多様性社会の中で逗子葉山という地域の魅力をつくる上で、人と人が認め合い、まちに住む人々が共に支え合い、行政、他団体とも連携を図り、調和する事で持続可能な発展していけるまちづくりを目指すという思いが込められています。
このスローガンのもとに、3つの目的を設定しました。それは、「安心安全なまちづくり」、「子どもたちが大人になっても住み続けたいと思う魅力づくり」、そして「調和する社会づくり」です。この3つの柱を軸に、地域の課題に取り組みながら、新しい価値を創造してまいります。
【安心安全なまちづくり】
地域の安心と安全を守ることは、住民の生活基盤を支える最も重要な取り組みの一つです。
近年の日本を含む世界では様々な自然災害が発生しております。2024年1月には能登半島で大きな被害を出した地震と大雨による大規模災害が発生して、多くの方々が犠牲になってしまいました。また2030年代には南海トラフ巨大地震が起こる事が予測されており、いつ起きてもおかしくない状況であります。その被害は海に面している逗子葉山も津波による大規模災害が起こる事が予想され、逗子葉山に住む私達は常に防災意識を地域全体で高める必要があります。
特に、未来を担う子どもたちへの防災教育は欠かせません。この地震大国日本で自然災害は避けられないことですが、備えを強化することで被害を最小限に抑えることが可能です。私たちが今できることは、子どもたちが楽しく学びながら防災意識を高める機会を提供することではないかと考えております。そこで私たちは、子どもたちが積極的に参加できる防災ゲームを企画し、防災についてゲームで学べる機会を作ることを考えております。
こうした取り組みを通じて、子どもたちが「自分たちの命を守る行動」を身につけるだけでなく、家族や地域の大人たちにもその意識を広げていけると考えています。防災意識を育むことは、地域全体の安心と安全を築く第一歩です。私たちは、住民全員が「守るべき命を守れる」地域を目指し、具体的な行動を起こしてまいります。
【子どもたちが大人になっても住み続けたいと思う魅力づくり】
少子高齢化が進み、地域からの若い世代の人口流失は大きな社会問題となっている中で、逗子葉山も例外ではありません。
この地域を支える次世代を担う子どもたちが地元への愛着を育み、この逗子葉山で仕事をし、家庭を築き、住み続けたいと感じてもらうことは、地域の未来にとっても非常に重要な課題だと感じております。
地域の魅力を感じてもらう為には、幼い頃から地域との関わりを深め楽しい思い出を作り上げる体験が欠かせません。
近年の逗子葉山青年会議所では、逗子葉山の豊かな自然や文化、地域の魅力を最大限に生かしたまちづくり事業を継続的に展開してきました。
逗子海岸や葉山の森戸海岸をキャンドルアートで彩る「Zushi Bach Candle」「Hayama Bach Candle」や、逗子葉山の名所やお店を回るデジタルスタンプラリー「ご当地ミッションラリー」、仮装した子ども達が逗子の商店街をまわってお菓子を貰う「ZUSHI HAPPY HALLOWEEN FESTIVAL」。いずれの事業も多くの子ども達に参加していただき、まちのイベントとして定着してきています。
今年度はこれらの事業を進化させることで、参加した子どもたちが、楽しい想い出を作るだけでなく、地域の特色を理解し地元愛を育むきっかけとなってほしいと考えています。
こうした地域を支える次世代の子ども達の心に地元愛を育み、地域社会の活力を高められる魅力ある事業を開催してまいります。
【調和する社会づくりについて】
地域の持続可能な発展には、人と人、人と地域が調和する社会づくりが欠かせません。その実現のためには、私たち青年会議所が地域に深く根差し、市民や他の団体と協力し合うことが重要です。そこで、今年度は積極的に、市民や多様な団体がJC活動に関われる仕組みづくりを進めてまいります。
現代の社会は価値観が多様化し、地域の課題も複雑化しています。そのような中で、私たちJCが果たすべき役割は、多様な人々や団体を結びつけ、新しい協力関係を築く「ハブ」となることです。例えば、市民や他団体と連携したプロジェクトを通じて、地域全体が目指すべき未来を共に描き、実現する場を提供します。
市民が気軽に参加できるJC活動を展開することで、私たちの活動を地域の皆さんにより身近に感じていただきたいと考えています。例えば、まちづくり事業などにボランティアとして関わる枠組みを設け、地域全体で「調和する社会づくり」を進めてまいります。そこで、私たちが地域の調和を実現するために、組織としての魅力を高めることが欠かせません。
また。会員拡大につながる組織の魅力づくりにも注力してまいります。
その一つが、多様な人材が活躍できる環境の構築です。地域で活躍する若手経済人や、各分野で情熱を持って活動する人たちが「参加したい」と思えるJCであり続けるためには、組織自体が柔軟で開かれた存在である必要があります。他団体との協力を積極的に行うこともその一環です。多様な視点を取り入れることで、新たな発想や取り組みが生まれ、JCが地域にとってより価値ある組織となります。
さらに、私たち自身が楽しみながら活動する姿を地域に発信することも重要です。活動に充実感と誇りを持つメンバーが増えれば、自然とJCの魅力が外部に伝わり、地域の若い世代に「自分も関わってみたい」と思っていただける機会が増えると考えております。
むすびに
私は一年しかこの逗子葉山青年会議所を経験しておりませんが、この歴史ある逗子葉山青年会議所に入会できたことを誇りに思っております。尊敬している父も、頼れる兄もJCのOBであります。時代や背景は違いますが、同じ環境で成長と発展の機会をいただけていることに大きな幸せを感じております。
この60年間、先輩諸兄姉が紡いできた伝統と向き合いながら、時代にあった組織変革が必要とされるこの時代で、会員拡大をする為にはどうしたら良いのか、魅力ある組織とは何なのか、今のJCになにが求められているのだろうか、そして逗子葉山にはなにが求められているのかと、JC活動をしながら、多く悩み、考えました。
この青年会議所というのは一年の単年度生であり、その一年で出来ることは限られているのかもしれません。
しかしこの活動を続けることで、私たちの思いが後世に引き継がれ持続可能な発展をして行くのだと信じております。
私はこの逗子葉山青年会議所のメンバーと共に活動することで、大きな希望をもちました。
一度は存続の危機に直面し、事業さえ出来るかわからない状況になりそうになっても、諦めずに一歩一歩進み続け、行動することで大きな成果が得られるのだと。
未だに会員拡大は大きな課題であり、会員数も決して多くはない状況ではありますが、メンバーの逗子葉山を愛する気持ちと仲間のためには惜しまない努力で、子どもたちの笑顔をつくる多くの事業を成功させてきました。
私が2025年度一般社団法人逗子葉山青年会議所第62代理事長として求められる事は何か。
それは多様性の社会で人々の考え方の違いに寄り添いお互いが理解し合える支援、この団体の存在意義とメンバーのコミット、地域と行政また他団体との繋がり、そして魅力ある組織づくり、私が今まで経験して学んできた事を、ここで発揮する事で、大きな成長と発展の機会を与えて頂いてるのではないかと感じました。
先輩諸兄姉が繋いでくれたバトンを後世に引き継げるように、現役メンバーと力を合わせて、逗子葉山の社会開発につながる地域貢献をして、自己の成長、仲間づくり、魅力ある組織づくりに全力で取り組んでいく所存でございます。
一年間どうぞよろしくお願い申し上げます。
